KATーTUNのライブを100円で観た話

こんにちは。タイトルをみてびっくりした人がいたらごめんなさい。当時私もびっくりしてました。

タイトルにもある通り、KATーTUNの年越しライブを結果的に100円で観てきた@京セラドーム。

そもそも私は今でこそK-POP沼にどっぷりはまり込んでいるけれど、最初に好きになった歌手はKATーTUNだった。きっかけはお姉ちゃん。一緒に海賊帆のDVDを観て、当時小学校6年生だった私は一気にときめいた。それからは上田担から中丸担へと以降しつつもデビューして以来ほぼ全てのライブに行っていた。
岐路は姉が担当していた仁の脱退で、2人でたまアリまで彼のソロライブを観に行き、泣いて帰ってきた。「そりゃ、ソロデビューしたくなるよな」と言いたくなるライブだった。
そのあとNMPは行かずに鎖魂までは行ったけど、彼ら(というか、ジャニーズ)のCDの売り方に嫌気がさした頃トンにハマったことで興味が一気に失せ、今ではたまにシューイチやGoing!を見ては昔を思い出していた。

そんな私がなぜ彼らのライブ会場にいたかというと、たまたまその付近でバイトをしていたからだった。派遣の短期バイトで、31の昼過ぎから翌明け方までというハードなものだったが、交通費が出たことと彼らの会場近くなら雰囲気も味わえる、と思い行くことにした。
当日、意気込んで行ったものの結果は拍子抜けだった。色々なことが重なって、彼らのライブが始まる午後10時には「上がっていいよー」とのお声がかかってしまったのだ。いつもなら嬉しいけど、今日ばっかりは喜べなかった。バイト仲間のKさんと拍子抜けですねーなんて話をしながら会場近くを歩いていると、おっちゃんに声をかけられた。

「お嬢ちゃん!1,000円でKATーTUNのライブ見んか!」

いわゆるダフ屋のおっちゃん。振り返るとおっちゃんは数人いて、そのうちの一人が焦った顔でわたし達に声をかけてきた。手には10枚以上のチケットがあって、開演までに売り切れなかったんだろうなと思った。

「1,000円ですか」
「ああ1,000円でええ。もうちょっと出せたら嬉しいけど」
「どうしよっかな」
「頼むわ。これ売りきらんと商売ならんねん」
「席どこですか」
「悪い席ちゃうで。1階スタンド下段やからちゃんと見えるよ」

そんな会話をして、私は決心した。買っちゃおう。そしてKATーTUNと年越そう。どうせバイトでカウントダウンなんか出来ない予定だったし、これくらいいいよね。
横にいたKさんに「一緒にどうですか」と誘う。実はKさんとは今日が初対面で、この時まだ名前も知らなかった。
「私、ライブとか行ったことないんですよ」
「でも、きっと楽しいですよ。私お金出すし、なんかの縁やとおもて」
「じゃあ、行ってみよかな」
ほぼ即決だった。年末年始はみんな浮かれる。あとから思い出せば、初対面の人に一緒にライブに行きましょう!と誘うなんて自分の性格でよくやったなあ、と思う。

「行きます。今お金出します」

財布の中身をさぐってみる。1,000円札が1枚あったのでまず渡す。小銭のところを探るけど、暗くて全然見えない。やっと出てきたのは100円だった。

「お姉ちゃん、もうええ。1,100円で2枚もってけ!

この時ばかりはおっちゃんの思い切りの良さに感謝した。二枚のチケットを大事に受け取って、Kさんとダッシュしながら少し喋った。ポルノグラフィティが好きだというKさんは、メガネの良く似合う優しい人だった。

会場に入るともうライブは始まっていた。聴き慣れたReal Faceが聞こえる。席について、上着を脱いで、自分達がなんのグッズも持っていないことに気付いたので、精一杯手拍子した。

相変わらず、メンバーは私が知るあの時のままで、でも少しだけかっこよく、それでいて大人になっていた。竜也様がワイルド路線で、じゅんのがめちゃくちゃ美しくなっていたのを見て少し驚いた。前日にNMPのDVDを観ていたから尚更だった。じゅんのがCメロを歌っている。その事実にちょっと感動した。
かめにゃんは相変わらず美しくて、かっこよくて、ハイフンのことをよくわかってたし、中丸くんはやっぱり中丸くんでとっても安心した。
カウントダウンの時はお隣のハイフンさんと、Kさんと手を繋いで、少しだけ跳んだ。小学校の時から続けてきた「ゼロの瞬間飛んで地球上にいなかった、のやつ」は今年もやれた。

終わったあと、駅への道を歩いているとKさんに1,000円札を手渡された。「楽しい思い出作らせてくれたお礼だと思って下さい」と言ってくださり、ありがたく受け取ることにした。差額、100円。

ということで、今年の年明けは今までの人生の中でもっとも思い出深く、素敵なものになった。
きちんと手続きをし、チケット代を払って会場に入られた方や、訳あって会場には入れなかった方からしたら、まさに「なんやねんコイツ」だろうし、本来取引すべきではないダフ屋のおっちゃんと、金額に目がくらんで衝動的に取引してしまったのは後から思い出しても後悔の嵐だ。
ただ一つ言い訳するとすれば、あの時買っていなければそのぶんの席は空席になっていた。天下のKATーTUNの、それも年越しライブで空席を作るのはあかん、と思ったのも事実だった。たった2席空席だったところでパフォーマンスしている彼らからは分からなかっただろうけど。

今後はこんなことしないし、そもそもこんなことないだろうと思う。どうか若者の黒歴史として許して欲しい。持って帰ってきたチケットは、ライブの思い出と共に頑張ってこのライブを作り上げたメンバーやスタッフ、そしてハイフンの皆さんへの罪悪感も運んできた。
自分の戒めのためにもこの記事を投稿することにする。
次は、いちファンとしてきちんとした手段をとってKATーTUNのライブに行きたい。